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子どもに対する作業療法について 

作業療法の養成校ではあまり発達領域の作業療法を勉強しないことが多いです。しないわけではないですけど、臨床実習先が少ない=専門に従事している作業療法士が少ない(会員の4%のみ、2012年時点)です。0から療育を始めるOTとして、子供に対する作業療法とは?を知っておくと発達領域に対するイメージがつきやすくなると思います。

 目次

 

1.子供に対する作業療法考え方

障害のない子供たちは、通常の生活環境があれば、自らの力で発達に必要なことを経験し吸収することができます。

 

しかし、感覚、認知の障害があると、環境からの刺激を適切に受け止めることを阻害しますし、運動機能、行為機能の障害があると、環境に対して働きかけることを阻害したりします。

 これが、子供にとって、「経験不足、欠如」や「歪み」を引き起こします。

子どもは、環境からの刺激に対して反応し、働きかけることで環境からのその結果としての刺激を受け、それが経験となり、その繰り返しや積み重ねによって発達するものです。

 

子どもに対する作業療法は、このプロセスが適切に経験できるように介入することなのです。

 

2.「正の方向」への発達・「負の方向」への発達

「正の方向」への発達は、すなわち健常児が正常に発達していくことを指しています。

障害をもつ子供も、「正の方向」への発達は望まれますが、発達指標通りに獲得していくことにこだわると、獲得するまでいつまでも同じことを練習しなくてはいけないです。多くの場合は、多くの時間がかかったり、場合によっては一生できないこともあります。ですから、ICFでいう、活動や参加に焦点を当てて、福祉用具や環境の調整でどうにかならないかを、考えていきます。

「負の方向」への発達は、すなわち障害の特性のために間違った結果(ex:異常な運動パターン)を学習し、生活に支障をきたすもので、一次障害や二次障害と呼ばれます。

「負の方向」への発達は(1)運動機能の障害、(2)感覚・知覚・認知機能の障害、(3)社会・心理的側面の障害に分けてみます。

 

(1)運動機能の障害

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運動機能の障害


身体機能の障害がある子供は、運動機能の獲得に偏りが起こりうります。

その結果起こる変形・拘縮には注意が必要です。

成長に伴う体重の増加や筋緊張の亢進、変形・拘縮の進行により低下する可能性もあることも注意が必要です。

 

(2)感覚・知覚・認知機能の障害

「こだわり」や「常同行動」などど呼ばれ問題行動として矯正・排除の対象となります。目に見えやすい行為機能障害(遊び方の特徴)を観察することで、どういった感覚刺激の入力に偏りがあるのかを評価する必要があります。

 

(3)社会・心理的側面の障害

運動機能や感覚・知覚・認知機能の障害があると、失敗体験をし自己肯定感が低下する可能性があります。それは、家族や学校の人から受けることがほとんどです。これらのストレスにより、引きこもり・うつ傾向・反社会的行動など精神的な二次障害を起こすことが有ります。

成人として自立(自律)するためには、適切な人間関係を築くことは必要です。子供はいつか大人になります。身体機能・感覚機能・認知機能などの機能面を底上げすることだけでなく、本児を取り巻く人といかに良好な関係を築くことができるかが、大人になったときの生活力に至ると思います。

人は誰でも、一人では生きていくことはできません。障害を持っているとなおさら助けてもらうことが多いです。世の中、障害者にやさしいひとばかりでありません。そんな人に、介護してもらうのが当たり前な環境で育ってきた障害者の人が、失礼な頼み方をすれば、「なんだこの人?」となりかねません。小さいうちから、わからなかったら聞く力、介護してもらうときはお願いする力、お礼を言う力を身に着けること、つまり感謝する力とお願いする力を身に着けることが必要です。

 

3.認知の発達

子どもの認知発達を学ぶには、ピアジェの認知発達論が参考になります。

心理学の教科書では、「知能は、感覚運動期、前操作期、具体的操作期、形式的操作期の4つの段階を経て発達する」と紹介されています。

1段階目:感覚運動期(0~2歳)

1歳までは、感覚ー運動の回路の中で意図があって運動を起こすというより、まず運動があってそのあと、意図や目的が生まれてくる。いろんなものを触れたり、人と関わったりの関係の中で、自分以外のすべてのものを把握していきます(シェマ(認知の枠組み)の獲得)。

特徴的な用語として、手段と目的の協応、ものの永続性が説明されています。

手段と目的の協応とは、それまでは邪魔になるものがあっても構わず物を獲得しようとしていたが、望んでいるもの(例:ぬいぐるみ=目的)に対して、邪魔になっているもの(覆われているクッション)をどかして取り除く。といったことである。

ものの永続性とは、いないいなばーを楽しめることです。非存在、存在の理解できており、見えなくても本当は存在し続けているということができている。もしできていなければ、目の前にいた大好きなママが急にいなくなると、まるで一生会えなくなったかのように大泣きします。

 

2段階目:前操作期(2~7歳)

イメージや表象を用いて考えて行動したりできるようになる時期です。ただし、まだ論理的・推測的な思考は乏しく、自己中心性(中心化)が抜けておらず、相手の立場に立った捉え方をすることはできません。

特徴的な用語として、量の同一性が説明されています。

見たままの事態しか理解できない。水を直径の異なるビーカーに移して変えた場合に、水の高さが異なっていても水の量は変わらない、ということを理解できない。6歳を過ぎるころから同一性の理解が可能となってくる。

 

3段階目:具体的操作期(7~11歳)

自己中心性からも脱却し、相手の立場にたった考え方もできるようになります。具体的操作期の特徴は、脱中心性・保存性の習得・脱アミニズム。物事を順序立てて考える論理的な思考は身についてきますが、物事を幅広くとらえて考えることはまだ苦手です。

アミニズムとは、生き物でないものを生きていると捉えることです。人形に名前を付けて世話をするなどがそれに該当します。

この時期にできるようになることとして、生物>動物>魚>鮭の順に意味する範囲が狭いことが理解できることが挙げられる。

 

4段階目:形式的操作期(12~15歳)

論理的思考に加え、抽象的思考もできるようになります。高度な思考力を習得することで、推察や「もしこの場合だったらどうなるのか」など、仮定的な考えもできるようになります。

具体的な操作から離れて、言語や記号の形式の上だけで論理学における4次元命題を用いて仮説演繹的思考ができる。つまり、今まで、積み木など具体的なものを使って算数をしていたものが、紙面上にあるxとかyとかの文字、数字のみで算術を展開するというったことです。

 

4.社会心理的な発達

子どもに対する作業療法は、子供が心理的にも社会的にも自立を果たすことを一つの目標として考え組み立てます。エリクソンの社会心理的発達理論がこれらの理解には参考になります。発達段階を老年層にまで体系化しました。①基本的信頼感(対不信感:0-1歳半ころ)、②自律性(対疑惑・恥:1-3歳ごろ)、③主導性・積極性(対罪悪感:3-6歳ごろ)、④生産性・勤勉(対劣等感)、⑤同一性(対役割の混乱)とまとめています。

 

第1段階の「基本的信頼感:0か月」は、外界や母親への信頼感のことです。

第2段階の「自律性:1歳半」は自分の身辺自律の開始時期であり、周りの環境と自分との関係を良好に保とうすることです。

第3段階の「主導性(積極性):3歳」は、自我が芽生えて外界に対する興味や好奇心・探求心が旺盛となり、外界に対して様々な働きかけを実行することによって実体験が積み上げられる時期です。この時期は、最初に来る反抗期とも言え、養育者からのしつけが重要な時期であるともいえます。

第4段階の「生産性:6歳」は、社会的に勤勉さを発揮し、生産性を自覚するとと主に、失敗した時には自分自身への罪悪感を感じる時期です。

第5段階の「同一性」は、自分自身の同一性を見出し、自我同一性を確立します。

 

5.まとめ

障害児の発達をイメージすることは、経験の少ない作業療法士にとっても難しいことです。子供における作業療法の目的は、大人になったときの生活力を身に着けられるように支援することだと思います。その支援のためには、知識(根拠、理論)を使っていくことが大事かと思います。発達区分の理論だけでも、ピアジェエリクソン、ボウルビィ、エインスワース、マーラーなどたくさんありますし、そういった知見を読むだけでも大変ですが、少しずつ勉強していきたいと思います。